復興需要で資材・人件費アップ 入札不成立が続出
建設費上昇 影響広がる
今日の日経新聞夕刊(大阪本社版)の一面トップに、建設費上昇 影響広がるという記事が載っていました。復興需要で資材・人件費アップ入札不成立が続出と見出しが並んでいます。
実際、豊中市でも、入札で、応札はあったものの予定価格(価格上限)を上回ったり、そもそも応札がなかったりで入札不調となり、後日やり直すというケースが頻発しています。
これまで通りの基準で算定した予定価格では安すぎるということのようです。12月議会でも、いくつかの工事が入札不調のために契約できず、今年度の予定が来年度に先送りするための補正予算が提出されました。
建設費上昇による入札不調続出の原因について、日経の記事ではごく簡単に「東日本大震災の復興需要などで資材や人件費が上昇しているため」とされています。それも一つの要因でしょうが、記事ではもう一つ大きな要因が抜けています。それは、アベノミクスが招いた急激な円安による輸入品価格の急騰です。この記事ではまるで震災復興のために各地の工事にしわ寄せが出ているかのようにも読めますが、実際には、資材費等の高騰により復興工事にも遅れが出ています。
政策的に円安を誘導し、実際、大幅な円安となりました。その結果、輸入価格は上昇しますから、必然的に資材費は高騰します。原油も高くなっていることは、ガソリン価格からも実感できると思います。
アベノミクスの金融緩和により、株価が上昇し、高級品がよく売れていることが、テレビや新聞で盛んに報道されています。株などの金融資産を持つ人にとっては、恩恵もあるのかもしれませんが、大多数の人にとっては関係のない話。それどころか、円安による輸入価格の上昇は、ガソリンや灯油、食料品など、すでに日々の生活の様々な局面で値上げが相次いでいます。これでさらに4月から消費税が増税されれば、いったいどうなることやら。早晩はじけることは必定のプチバブルと引き換えに、庶民の生活に打撃を与え、震災復興の足も引っ張るアベノミクス。実に愚劣です。
日経の記事が、アベノミクス円安の影響を単に見落としているのだとすれば、経済紙としてお粗末な限りですし、あえて触れることを避けたのなら、やはり日経新聞は「報道」でも「ジャーナリズム」でもなんでもないということでしょう。
何年か前、所用で東京へ出かけたとき、たまたま通りかかって、日経新聞の東京本社が日本経団連ビルの隣だと知りました。外から見るとほとんど棟続きに見え、同じ建物だと思ったほどでした。日頃、日経新聞を「財界の機関紙」「財界にゴマをするための業界紙」などと揶揄していたので、あまりに “そのまんま”な本社ビルに笑ってしまいました。そんなことを思い出しながら読んだ、今日の日経新聞でした。
てすとです